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2012年7月31日
「永田琴監督インタビュー」with 映画24区俳優ワークショップ

永田 亮輔さん

永田 琴(ながた こと)

映画監督。代表作:『Little DJ~小さな恋の物語』『渋谷区円山町』
1971年生まれ。関西学院大学商学部卒業。
岩井俊二監督作品(『リリイ・シュシュのすべて』他)をはじめ、三枝健起、クリストファー・ ドイル等の多数の映画、TVドラマ、P.V、CFで制作、助監督を務める。 2001年よりフリーのディレクターとして映画だけにかかわらずCM、PV等多岐にわたって企画・演出を始める。
2004年『恋文日和』(オムニバス映画)で劇場公開デビュー。
2007年『渋谷区円山町』、『Little DJ~小さな恋の物語』(20回東京国際映画祭正式招待作品)が公開。資生堂主催の企画展『スクリーンのなかの銀座』(2007年ハウスオブシセイドウにて開催)に於いても短篇『WOMAN』を出展している。
KOTO NAGATA official website http://www.kotonagata.com

★映画24区とは?

映画人がこぞって集う、東京23区にはない新しい場所。
その思いから「映画24区」と命名いたしました。 有名・無名を問わず、映画に関わる映画人=映画24区の住人がここに集うことで、 コラボレートし、新しい化学反応を起こし、 数多くのクオリティーの高い作品を創り出していくことを目指しています。
映画24区 http://eiga24ku.jp/

『映画業界で活躍できる役者』を目指す人に向けたワークショップ、映画24区俳優ワークショップ。クリエイターズコミュニティでは毎回、この映画24区俳優ワークショップに登壇するゲスト監督に向け、インタビューを行います。

(永田 琴監督=永田

聞き手
早速ですが永田監督がオーディションを行うにあたって、どういったキャストの方が魅力的だと感じますか、あるいは採用したいと思いますか?
永田
脚本によってキャラクターが違うので、ひとつは単純に脚本のキャラクターに合った役者さんが魅力的ですね。でもオーディションをやっていて面白いのは、ギャップがある人ですかね。分かり易く言うと、美人だけど「実はおっちょこちょいで性格がふにゃふにゃしてる」みたいな。そういうことができる人だったらいいなと思うし、ビジュアルと内面がいっぺん通りじゃない方がキャラクターとしても面白いので、キャストとしても面白いって思いますね。
聞き手
実際のキャスティングではハマり役の方を選ばれるのですか?それとも意外性を重視されるのですか?
永田
両方ありますね。もちろんハマり役の方がいいって時もありますけど…キャスティングは本当に難しいので、時と場合によりますね。
エキストラや端役については、ここでそんなにブレなくて良かったり分かり易くおさえていて欲しかったりというポジションなのでハマり役の方がいいですね。そんなに登場シーンがないのに、「この人はどういう人なんだろう?」って観客がそこで足止めされても困るので、そこはすっと分かり易いティピカルな人がいいですね。ゴレンジャーで言えば、これは緑。これは黄色。主人公はやっぱり赤。そういうのが「ハマり役」なわけじゃないですか。たとえばドロンジョ様とか、分かります?ボヤッキーとか?(笑)
聞き手
はい、分かります(笑)
永田
ここはやっぱりボヤッキーでしょ!っていうキャラクターなのに、もしそこに主役みたいなイケメン俳優が配役されていたら、「顔はいいけど中身は変哲な奴なわけ?」とか、サイドで面白いことやって欲しいキャラクターなのに、ビジュアルばっかり良かったら、その人で足止め食らっちゃうじゃないですか。「あれ?ボヤッキーって、いい男なんだ?」って。それじゃ話が進まないですよね。だからそこは余計なことはせず、ボヤッキーでいいんだよね。観客にとって余計なものになるのか、そうじゃなくて「面白いね」って思えるラインなのか、ポジションによっても違うから一概には言えないんだけど。だからそういう意味でハマり役がいい時もあるし、ハマリ役じゃない方が面白い時もあります。

それとハマってないんだけど、演出も役者もやりがいになるというパターンもありますね。例えば普段、「少女の役しかやってないんです」というタレントさんに対して、「悪女役で脱ぎもあるけどやりますか?」とオファーして、その人が「やります」って言ったら、その人の役者人生をかけた挑戦になるわけじゃないですか。そしたら私も責任持って受け止めてあげなきゃいけないし、「あいつ何で変わっちゃったわけ?」とか、「あの悪女役やめておけばよかったのに」と思われたらダメなわけですよ。やったからには「悪女役をやったことで彼女は成長したな、女として一皮むけたぞ」と観客に思ってもらえるようにしなきゃいけないわけで。そのためにはやっぱり私たちは野放しにできないですよね。その子が批判されないように私は引っ張ってあげなきゃいけないし役者も頑張らなきゃいけない。そう言う意味では、もともと持ってないものを引き出して普段とのギャップを生み出すっていうチャレンジはありますね。それはやっぱりやりがいがあることですね。

聞き手
永田監督の作品『Little DJ』を拝見させていただいて、神木隆之介さんがものすごくはまり役だと思ったのですが、この作品は脚本が先にあって、キャスティングは後からだったんですか?
永田
これは神木くんの成長前の幼少期最後の作品にしようって決めていたので、そういう意味では神木くんは結構始めからいましたね。だから一番初めは小学校4年生ぐらいの幼い役のイメージだったんだけど、神木くんが意外と大きくなりすぎちゃっていたので彼に合わせていきましたね。ぎりぎりなところで。
聞き手
神木くんに合わせて脚本を変えていかれたということですか?
永田
はい、変えましたね。
聞き手
「Little DJ」に出演していた、その他の子役たちはどのようにキャスティングされたんですか?オーディションですか?
永田
子役は基本的に全部オーディションですね。セリフのない方々は全部エキストラなので、来てくれた方々です。
聞き手
オーディションをするかエキストラにやってもらうかはセリフがあるかないかなんですか?
永田
そうですね。でも、セリフがなくてもちょっとやってもらって上手だったからその人にそのまま演技してもらって、もはやエキストラではないということもありますね。
聞き手
本日ワークショップを拝見しまして、「ありがとう」という言葉一つとっても言外にこんなにも色々な思いが込められているのだな、ということを学んだのですが、永田監督がそれ程までに一つの言葉の裏にいろいろな意味を汲み取ることができるのは、どのようなご経験をされたからなのでしょうか?
永田
普段から色んなことに興味のある性格なので・・・多分、どんなことでもやってみるんですよね。例えば、自分が居心地の良い仲間っていますよね?そこにずっといると、あまり発展しない人間関係なんですよ。だけど、あんまり仲良くない人や滅多に会わない人とご飯食べに行ったり、色んなところに足を運んだりすると、こういう世界もあるんだな、って勉強になるんですよ。演出の仕事をしているので、自分の友達以外も描かなきゃいけないじゃないですか。映画の中には色んな人が出てくるわけだから、色々な人を知っているっていうのは、私の中では大事なことかなって思いますね。そういう意味では、よく周りから「色んなことしていますね」って言われます。
聞き手
それは例えば、色々な方に会うということでしょうか?
永田
そうですね。友達の枠が幅広いんですよ。だから、一年に一回くらいしか会わないけど、連絡は取り続けている子もいるし、誰かに「一緒に行きませんか」って誘われたら行くようにしている。あとは、普段行かないような所に一人で行ってみるわけ。そしたら普段とは全然違う人と巡り会えるじゃないですか。友達と行ったら友達のこと気にしてあげなくちゃいけないし、友達のことかまってる間に友達としか喋らなくなるんで、結局広がらないんですよね。だから私、結構何でも一人で行くんですよ。そしたら色んな人と会えるし、お酒飲みながら喋る人が増えてくじゃないですか。そうすると普段出会うはずのなかった人と会えるんです。そういう人とまたご飯食べに行ったりとかすると、「こんな人いるんだ~」って思える人と巡り会えるんです。
聞き手
人間を観察しに出かける位の感覚なのでしょうか?
永田
まあそうですね。観察しに行くって言ったら何か悪いけど、自分が知らない人に出会うのが好きなんです。
聞き手
そうして得られた言葉やシチュエーションに対する沢山のパターンの中からいくつかを選んでキャストの方々と共有するようになさっているんですか?
永田
やっぱり名のある役者の方たちと一緒に仕事すれば、こっちがびっくりするような一言が出たりしますからね。「こう来たか!」っていう。例えば今日の(ワークショップでの)「ありがとう」で言うと、「え、そのありがとう!?すごいな」みたいな感情のある一言が出てきたりとか。それは面白いですよ。実際に人前に出て演じている方々っていうのはやっぱりレベルが高いので。
聞き手
そういう現場では台本通りではない展開になることが理想ですか?
永田
私が思ってる芝居を超えてくれているのが一番楽しいですね。やりがいにもなる。
聞き手
役者さんの中であまり経験がない、例えばずっとモデルをやっていていきなり女優になった、というような方もいらっしゃると思うんですが、そういう場合に、演出をされていて役者さんとの間にギャップを感じたら、どのようにそのギャップを埋めるのですか?
永田
経験がない子は、とにかく練習あるのみですね。何回も練習して、監督とキャストの気持ちが一致するまでやり続ける。例えば『渋谷区円山町』だと経験が少ない人も多かったので、徹底的にやりました。
聞き手
『渋谷区円山町』のキャスティングはどうやって決められたんですか?
永田
当時私はEXILEを知らなかったのですが、MAKIDAI君を見たときに「この人しかない!」って思ったんですよね。きっと彼じゃないとうまくいかないって。
その後EXILEだって知ったけど、まあいいんじゃないって。今回は役者より他の畑から来ている子達の方が面白いかなって。
聞き手
ワークショップのはじめに永田監督が仰っていた、生きてるだけで人は色んな芝居をしているという言葉が印象的だったのですが・・・
永田
普段から皆芝居してるでしょっていう意味ね。彼氏の前では芝居するでしょうよって話。女の前でだけ甘える男だっているでしょっていう、そんなもん上司の前で甘えてどうすんの、甘える芝居してるだけでしょ、っていう。(笑)
聞き手
今日のワークショップで、言葉の裏にある重みや意味の違いを永田監督がすごく大事にされているんだなと感じたのですが、そのことを永田監督が意識し始めたのはいつからだったんでしょうか?
永田
いつからかは分からないですけど、常日頃表現って何なのかな、っていうのはよく考えていて・・・私にとって今は映像が表現だけど、若い時はダンスをしていたので、「言葉」よりも大きいカテゴライズだけど、ダンスでいうとヒップホップっていう表現もあれば、バレエやジャズ、民族舞踊やコンテンポラリーってあって、喋らないけど皆それぞれの言語で表現してるんですよ。私は、被写体とは関係なく「映像」っていう表現をしていて、映像を撮りながら、「自分が撮ったこのカットがどういう表現になっているのかな」って普段考えてるわけですよ。私は編集もしますけど、編集一つでも撮り方一つでも、全然違う表現になるんです。「表現」って限りなくあるので、「人が芝居をする」という表現を追求したり、表現がない人はどういうことなんだろう、と考えたりします。デザイン一つとっても、それが「表現」なわけで・・・常日頃から身の周りに気になることがたくさんあるんです。そういうことを考えるのが私は好きなんですよ。
聞き手
とても客観的にご自身も世の中も見られているんですね。
永田
そうですね。そんなことからこのような表現になりました。
聞き手
本日は貴重なお話を、どうもありがとうございました。
永田
ありがとうございました。

インタビュー協力:映画24区

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