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2012年6月29日
「橋口亮輔監督インタビュー」with 映画24区俳優ワークショップ

橋口 亮輔さん

橋口 亮輔(はしぐち りょうすけ)

映画監督。代表作:『ぐるりのこと。』『ハッシュ!』
橋口亮輔 はしぐち・りょうすけ
1962年7月13日生まれ。長崎県出身。
1989年、ぴあフィルムフェスティバルにて8ミリ映画『夕べの秘密』がグランプリを受賞。
1992年、初の劇場公開映画『二十才の微熱』は、劇場記録を塗り替える大ヒット記録。
低予算映画ながら、国内では8万人を越える動員、フランスでは半年に渡るロングラン。30カ国以上の映画祭の正式招待作品となる。
人とのつながりを求めて子供を作ろうとする女性とゲイカップルの姿を描いた3作目『ハッシュ!』(2002年)は、第54回カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待され、世界65各国以上の国で公開。国内でも、文化庁優秀映画大賞をはじめ数々の賞を受賞。
6年振りの新作となった『ぐるりのこと。』(2008年)は、女優・木村多江に数多くの女優賞を、リリー・フランキーには新人賞をもたらし、その演出力が高く評価された。
2009年、初期作品をまとめた『自主映画。』が発売。(発売元:バップ)

★映画24区とは?

映画人がこぞって集う、東京23区にはない新しい場所。
その思いから「映画24区」と命名いたしました。 有名・無名を問わず、映画に関わる映画人=映画24区の住人がここに集うことで、 コラボレートし、新しい化学反応を起こし、 数多くのクオリティーの高い作品を創り出していくことを目指しています。
映画24区
http://eiga24ku.jp/

『映画業界で活躍できる役者』を目指す人に向けたワークショップ、映画24区俳優ワークショップ。クリエイターズコミュニティでは毎回、この映画24区俳優ワークショップに登壇するゲスト監督に向け、インタビューを行います。

今回は国内外から高い評価を受けている映画監督の橋口亮輔監督にインタビューを実施。橋口監督のキャスティングへのこだわりや演出論について語っていただきました。

(橋口 亮輔監督=橋口

聞き手
まずはキャストを決める際の橋口監督のこだわりについて教えていただけないでしょうか。
橋口
内容優先です。
聞き手
内容優先というのは、監督がイメージされている内容に合う方ということでしょうか?
橋口
売れている、売れていないもあるんでしょうけど。でもあんまりそういう事を気にすることは無くて、「この人出せばヒットする」みたいなことでキャストを決めることはないですね。舞台の人も映像の人も関係なくキャスティングします。
何人か役で迷っているときは、「お会いしたいなぁ」と思う人や、若い人たちを呼んで、色々やってもらい「あなたにやってもらうね」と決めていく場合もあります。美男美女に偏ったものではなくて、出来るだけバラエティのあるおもしろい日本人の顔がある映画を、ということを心がけていますね。

聞き手
橋口監督の作品では「この組み合わせしか考えられない」というくらい大変に選び抜かれたキャスティングが行われているという印象を受けます。キャスト選びも監督ご自身でバランスを見ながらやられている、ということなのでしょうか。
橋口
そうです。有名・無名を問わず。…無名と言っても、「無」の素人はなかなか難しい。狙い別でわざと使って自然な演技を、という場合は別ですけど。無名って言っても小劇場で演じられていたりおもしろい芝居をされていたりする方って日本には大勢いると思うんですね。でもなかなか日本で有名になろうと思うと、テレビに出るとかCMに出るとかっていうことになりますから。他にもっと才能のある面白い芝居をやれる人っていっぱい居るのになぁと思いますね。
聞き手
演出を行う際に準備段階でキャストに求めるものと本番でキャストに求めるものについて教えていただけますか。
橋口
リハーサルでは6割方くらいやるって感じですね。リハーサルでは完成させない。完成させると現場がつまらなくなるから。
「こんな感じかな?」「不安はあるけれども現場でなんとかなるかな?」という、キャストとの間でお互いのハラハラ感がありつつ、っていうところで止めておきますね。(他の監督の)皆さんもそうだと思いますよ。舞台なんかでもそうで。役の根本的な部分だけを押さえて作っていきますので現場でどういうアクシデントに対応できるのかという部分も見てますね。
聞き手
役の根本的なところというのは登場人物の性格なり生き方なりということなんでしょうか?
橋口
何て言うんでしょう。どんな思いを日々感じながら生きているんだろう?っていうのが根本的なところなんじゃないかなぁ。
聞き手
哲学みたいなことですか?
橋口
そんな大げさなことではなくて、何が好きで何が起きたときに許せなくてとかそういうところ。普通に日常で感じながら生きていることですよ。
人に流される事が多いけど「でもここだけは譲れない」とか。みんなあるでしょ?1つや2つ。そこは人間の根っこですから。根っこさえつかんでいれば、ロケ地が変わろうが雨になろうが、そういう現場の変化に左右されず、やれるんじゃないかな。それをリハーサルでやって、現場で完成させる。
どういう人間なんだっていうことを理詰めで「この人はこうなんだ!」って言うんではなくて…それは大変ですよ、自分のことだってわからないのに、赤の他人が書いた台本を渡されて「分かれ」っていうのは。だからその人物の全体を掴んで、それを映画でやりましょうっていうことなんですよね。
聞き手
そのためには役者の方とずっと話す、ということなのでしょうか。
橋口
そうですね。それでエチュードやったりして「それ、違うんじゃない?」って言ってみたり。延々とその繰り返し。
聞き手
対話を繰り返していかれると、登場人物の根本部分を役者の方と共有したなと実感される瞬間がくるのですか?
橋口
わからないですね。お互い話し合うしかないです。なんども。まず自分を「開く」。言葉を尽くして説明する。そうすると相手も「開いて」くる。そうしてお互いに言葉とやりとりを重ねていく。相手に開いていかないとその距離が縮まることはないですね。
聞き手
そのやり取りを何度も繰り返されて本番に入られる…
橋口
(本番では)1カット1カットちゃんと撮れるかどうかとても不安ですよ。その日の天候やキャストの体調、ちょっとしたことの積み重ねで現場はまるっきり変わってくる。それはもう凄いプレッシャーです。
聞き手
そのような重圧の中で監督が持たれているイメージに近づけていかれる…
橋口
自分の想像しているものはあるけど、現場ではその想像を超えたものが生まれますし、それを期待しますね。自分が感じた経験や内容から物語は作られますがそれは所詮ひとりの人間が感じたことじゃないですか。たくさんの人が集まって映画を作るということはもっと凄いものが生まれるということです。映画っていうのはそういうものですから。
聞き手
キャスト・役者の方々との対話の重要性、そして作品を一緒に作っていく過程に関して橋口監督にとても丁寧にお話頂きました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
橋口
ありがとうございました。

インタビュー協力:映画24区

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