TOP 俳優・女優のオーディション体験談

特集

 

2012年7月19日
2011年以降は「映画はソーシャル」がキーワード〜京都・そのポテンシャルとワークショップが目指すところ〜

シマフィルムと映画24区でワークショップを開催 田中誠一さんインタビュー

田中 誠一(たなか せいいち)

京都の大学在学中、映画研究会にて自主映画の製作に取り組む。
映画館での仕事を経て、映画祭運営などにも携わる。その後、自主上映企画に取り組むと同時に、劇場公開作品の関西宣伝活動を仕事として受ける。
2009年、柴田剛監督作品『堀川中立売』の製作に参加したことから(株)シマフィルム京都オフィスに所属し、現在は企画・製作・配給・上映など関西のインディペンデント映画制作の傍らにいつづけている。
デジタル映像ソリューションの提案を行なうKyotoDUのメンバーでもある。
シマフィルム <http://www.shimafilms.com/
KyotoDU <http://www.kyoto-du.jp>

★映画24区KYOTOとは?

映画人の育成を手掛ける株式会社映画24区と京都を基盤に映画製作や配給事業に携わるシマフィルム株式会社が共同で立ち上げた、映画人の発掘と育成を目的としたプロジェクト。初年度は京都出身で新人俳優の魅力を引き出す映画作りに定評がある谷口正晃監督を講師に、【俳優ワークショップ】【俳優オーディション】【短編映画制作】を通じて世界に通用する俳優の育成を目指す。
映画24区KYOTO特設サイト http://shimafilms.com/eiga24kukyoto/

(聞き手:デューイ松田=松田

(田中 誠一=田中

シマフィルムと映画24区の提携でワークショップ開催

松田
今年の7月から始動している京都映画人発掘育成プロジェクト『映画24区KYOTO 2012』は、シマフィルムと映画24区が立ち上げたプロジェクトとのことですが、提携のきっかけを教えてください。
田中
うちのシマフィルム代表・志摩敏樹が、映画24区さんが東京で開催しているワークショップの講師として呼ばれたのがきっかけです。志摩が担当したのは地域プロデュースコースと言って、これからは地域に根ざした活動が必要という事で特化したコースでした。
松田
映画24区代表・三谷さんがワークショップの始動について、「東京だけで制作する事に危機感を感じ始めて」とありましたが、田中さんは京都におられて何か感じるところはありますか?
田中
僕の場合はたまたま京都にいるんですけど、自分たちが居る京都でいかにやっていくかを考えています。東京というより、業界全体でという考え方。
松田
京都はどういった土地柄だと思われますか。
田中
京都は現状維持の街だと思います。江戸時代やその前からある建物もあるし、文化、慣習、地域のシステムも昔から続いているものの延長線上にあると。それが関西の他の地域に比べたら圧倒的に特殊でしょうね。

京都・そのポテンシャルとワークショップが目指すところ

松田
京都は作品を作るにはどういう土地柄ですか?
田中
やり易い所もあればやり難い所もあるでしょうね。要はそのポテンシャルをどう生かすかだと思っています。ワークショップで目的としているのは人材の発掘。大阪ではCO2(シネ・アスト・オーガニゼーション:若手映画作家の育成を目的とした支援上映会)や大阪アジアン映画祭で地域的な動きが出来つつありますが、京都はいまいち共有で来ていない感じを受けます。個人は行き来していてもテリトリーが違うとういうような。
文化人類学の観点で、映像が非常に重要なものとして認識され10年20年経っています。京都にある大学が授業で映画や映像を教えるようになって5、6年経っていますから、映画や映像をやっている学生三千人くらいいる訳です。大阪は大学が街中にないし分散してますが、京都は大学が街のど真ん中にあるのも強みです。自転車で京都市内どこでも行けますからね。これは力になりうる。そんなポテンシャルを上手く生かすことをみんな考えてはいるんですが、生かしきれてないのが現状です。現場を作る人やシステムなどがまだないように思います。産業がないので僕らはそこを考えていかないといけないんです。
シマフィルムも映画を作っていますが、年に何本作っているのかという話になると、京都を日常的に活性化することに取り組んできた訳ではないんです。今後、映画をできるだけ日常に取り込められるか。ケとハレでいうと、現場がハレならケのときにいかにハレに備えるか。そんなことを考えているんです。
松田
京都という土地で、今回のワークショップでは具体的にどんなことをやるんでしょうか。
田中
学校ではないので、演技を教えるかというとそうではないんです。映画や映像の中に「映る」ということを真剣に考えていきたいと思っています。舞台で上手い人が映像でも上手いとは限らない。写る側の人達とセッションする前に、そういったことを共有するもの重要だと思っています。
大阪って外から見たらブラックボックスで、何か面白そうだけど外から見たら何をしているか分からないんですよね。京都もそう。関西人はそれを半ば誇りにしてる部分もありますが(笑)、外への広がりを期待するなら、外に向けて伝える努力は必要です。関西、京都だけで勝手にやっている感じにはしたくなかったので、映画24区さんと一緒にやることにしたんです。

寿美菜子、祷キララのような原石を見つけたい

松田
映画24区KYOTO 2012』の中で俳優オーディションがありますが、これはワークショップに参加した方々が臨むものですね。田中さんは、今までシマフィルムの中でオーディションに係ってこられたと思いますが、選択のポイントはどんなところに置いていますか。
田中
それは作品ごとになりますね。作品のキャラクターに合うかどうか。ジャッジはあくまで監督中心になります。コミュニケーションがスムーズに取れる方はいいですね。その辺は書類選考では分からないので対面で初めて感じるところです。その上で動いてもらって資質を見て、監督に確信が生まれた人ということになります。
ワークショップで一番のモチベーションは原石を見つけるという事ですね。例えば、今は漫画原作「けいおん」の声優としても活躍してます寿美菜子さんは、中学生の頃に松野泉監督が『GHOST OF YESTERDAY』で起用して、その後、浅川周監督の『bluebird』、伊月肇監督の『-×-(マイナス・カケル・マイナス)』に出演していました。
その他にも禱キララ(いのり・きらら)さんは、デビュー作『堀川中立売』ではオーディションがなかったんですよ。あくまでイレギュラーですけど、この映画の出演者は監督の交友関係でバンドマンとか、役者でない人の方が多かったですね。キララも当時は全くの素人で演技も特別していたわけではなかったんです。ですが『堀川中立売』後、事務所に所属していないこともあって出演交渉など基本的に僕のところに話が来るようになったんです。そして今年のCO2で出演した安川有果監督の『Dressing UP』で新人賞を獲ったということは、我々としては感慨深いものがありますね。「キララ、大きなってんねや」みたいな(笑)
今回のワークショップでは、参加者との関係がワークショップのみで終わることがないように考えています。できるだけルーティンで色々なことに係っていただけるようにしたいし、シマフィルムだけじゃなく東京は24区でも情報を東と西で広げていくようにしたいと考えています。

新人の未知の力を引き出す谷口正晃監督への期待

松田
プロジェクトで講師を務める谷口正晃監督は京都出身なんですね。
田中
谷口監督は、今回のイベント『春の映画嵐』の会場・立誠小学校出身でもあるんです。立誠小学校は地元の方々が自治運営で維持しているんですが、京都はこういった小学校の跡地を京都市と自治体が協力して存続させる取り組みが多くて、市街地にいくつもあります。谷口監督が子供の頃から知っている方々が注目している訳ですから、谷口監督も相当真剣に取り組んでいただいています。
谷口監督に講師を依頼したのは京都出身ということもあるのですが、谷口監督が手掛けている商業作品は新人の俳優を主演にしたものが多いんです。仲里依紗さん、桐谷美玲さんとか、新作『シグナル』の三根梓さんは初主演で映画デビューの現役女子大生ですもんね。2、30年前であればアイドル映画の系譜というのがあって、薬師丸ひろ子さん、斉藤由貴さん、原田知世さんなどが角川映画に出て、相米慎二監督、大森一樹監督といった錚々たる監督が手掛けておられました。映画の中でいかに俳優としての“何か”を引き出すことができるかが、映画として成立するかどうかの大きな要素ですよね。新人俳優とは商品になりうるのでしょうが、技術や表現性が必要だと思います。アイドルという視点でも新しい物に近づいていきたいですね。
松田
今後もオーディションには期待していますか?
田中
もちろん!子供のワークショップやるのは原石に期待しているからです。キララなんて『堀川中立売』の時は9歳ですからね。
大阪の若手育成をテーマにしている上映会CO2では今年の作品は、「俳優で光る人達はたくさんいたけど、それを生かす演出が足りない」という講評が出ています。それを踏まえても我々は商業ベースで俳優について真摯に考えていこうと思っています。

外に映画を観に行く価値を高める

松田
映画をめぐる現状でなにか思うところはありますか?
田中
映画が今一番しんどいのは、どうやってお客さんを映画館に入れるのかということですかね。
東京造形大学教授の諏訪敦彦氏が「映画はソーシャルである」ってことを言っておられて、まさにそうだと思います。ゼロ年代(2000年代)はコミュニティというカテゴリーが希望であり、キーワードでした。2011年以降はソーシャルがキーワードだと言われています。ソーシャルといっても趣味嗜好が近い人集まるというより、もっと広いし成熟したものを持ち寄らないといけない。ただ、持ち寄りだけじゃなくて回していく概念も忘れてはいけないのだと思います。
映画は商品にも成り得るが、芸術でもあるし、文化でもあると考えた場合、自分のテリトリーから出て別の場所に映画を見に行くこと自体が社会的な行為なんだと。映画は人間社会のプリミティブなソーシャルの形を持っていますので。
今、映像作品はPCやTVで配信されますから、家から一歩も出ずして観ることだってできます。そんな時代に何故わざわざ自分のテリトリーから出て、どんな人と会うかも分からない、居心地がいいかどうかも分からない場所に、自分が知らないものを観に行く。その行為の価値を明確にしていかないと映画は残っていかないし意味がなくなってしまうのではという想いがあります。そういったことを見つけて提案していくのがこのワークショップだと思っています。
松田
クリエイターズコミュニティのサイトについてどう思われますか?
田中
トップページで“プロデューサーサイト”“キャストサイト”“スタッフページ”に分かれていますが、各サイトに入った後もトップページに戻れるリンクがあるといいですね。
“プロデューサーサイト”に関してなのですが“キャストを絞り込む”の項目で男女・年齢といった絞込みができるのは使いやすいと思います。ただ、現住所は都道府県の細かいカテゴリよりも地方ごとの検索があればいいかなぁ。関西地方、とか北海道・東北地方、といった様な。
キャストを決めるとき、やはり写真より動画の方がイメージが掴めるので、問い合わせて送ってもらうことが多いんですよ。プロフィールページに動画のリンクがあるのはいいですね。出来たら演技をしている動画だとなおいいですね。
マッチングで出来上がった作品に対して、上映情報の告知があれば、応募する皆さんの励みにもなるんじゃないかと思います。
松田
貴重なご意見をありがとうございます!

まずはここから!

はじめての方
無料登録
会員の方
ログイン

▲ページトップへ