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塚本晋也監督『野火』出演 森優作さんインタビュー

ストーリー

第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。日本軍の敗色が濃厚となった中、結核を患い、部隊からも野戦病院からも追い出された田村一等兵(塚本晋也)は原野を彷徨うことに。空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものは……。

スタッフ

原作:大岡昇平「野火」、監督/脚本/編集/撮影/制作/出演:塚本晋也、音楽:石川忠

出演

塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作、中村優子

【プロフィール】

塚本晋也監督
1960年、東京生まれ。映画『電柱小僧の冒険』(87年)でPFFアワードグランプリを受賞。劇場映画デビュー作となった『鉄男』(88年)が、ローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得。この他、イタリア・ヴェネツィア国際映画祭で『六月の蛇』(02年)がコントロコレンテ部門(のちのオリゾンティ部門)で審査員特別大賞を受賞、また『KOTOKO』(11年)がオリゾンティ部門で最高賞のオリゾンティ賞を受賞した。

俳優・森優作
1989年12月4日生まれ。大阪出身。オーディションで『野火』永松役に選ばれ、本格的な映画デビューを飾る。通訳を目指していたことがあり、17歳から20歳までイギリスに留学経験がある。

(森優作さん=)

聞き手
今回の『野火』は森さんにとって初めての映画出演になるのでしょうか?
このような大きい役としては初めてです。一言、二言の役で前に一つだけ関わらせていただいた作品があります。古厩智之監督の最新作の『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』という作品です。
聞き手
それ以前にはお芝居の経験があったとか。
お芝居と言うか、お芝居“みたいなこと”はしていましたね。
聞き手
今回大きな役を掴まれたわけですが、このオーディションにはどういった想いで臨まれたのでしょうか?
受かるものだと思っていなくて、いい経験になればいいなと思って行きました。オーディションの情報自体「受けてみたら?」と友達から教えてもらって。それで監督の名前を調べたところ、自分が最初に関わらせて頂いた古厩監督の作品に役者として出ていらしたことを知りました。そこで「監督やられているんだ!」と驚いて、さらに調べて興味を持って、このオーディションを受けようと思いました。。

©SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

聞き手
その時点で戦争をテーマにした映画というのもご存じでしたか?
はい、書いてありました。題材もそうですし、興味を惹かれたので行くだけ行ってみようと思って。
聞き手
興味があったというのが最初のきっかけになったのだと思いますが、オーディションの際にこの役を演じたい!という気持ちはありましたか?
オーディションでは自己紹介などほとんどせずに、すぐに台本を渡されて、台本を読んで自分が永松の役を演じたときに、別に自信とかではなく「これやりたい」って凄く思いました。
聞き手
オーディションで初めて台本を読まれたのですか?
はい、それが最初です。受かりたいというか、これを本当にやりたいと思ったのが率直な気持ちです。それが凄く強くてオーディションを受けていたというイメージがあります。自分の演技ができる、できないということも考えてなかったですし、とりあえずこれをやりたいとだけしか思わなかったので。それだけしか思ってなかったですね。
聞き手
そのシンプルな想いがやはり監督には伝わったのでしょうね。
伝わったのですかね。伝わったかどうかはわからないですけれども。
聞き手
戦争をあたかも体験をしたような感覚がする映画でした。上映前のご挨拶で、戦争は普段ご自分にとってすごく遠いものだとおっしゃっていましたが、映画が完成した今、「戦争」に対しての距離が縮まったというか、感覚は変わりましたか?
戦争に対しての距離というのはあまり変わってないですが、この作品に関わったことで自分が生きている今の社会について敏感になりました。今戦争が起きるとか起きないということではなく、現在日本という国の状況がどうなっていて、これからどうなっていくのかを考えたりする機会はすごく多くなりましたし、ニュースに対しても敏感になってきていて。『野火』に関わらせてもらっていなかったら、戦争というものに対して考える機会はあまりなかったのではないかと思います。
聞き手
映画の中で、戦争の疑似体験をされました。俳優であったとしてもなかなか無い特殊な経験をされたと思います。最後の人肉を食べるというシーンを演じたときのことは覚えていらっしゃいますか?
覚えています。あれは本物の肉ではないのですけれども。血のりのついた発泡スチロールの上に雑巾があって、それを蛮刀で切って、切った後にそのまま食べるのですが、演技とかテクニックではできないと思って、やるしかないなと。だから、普通に雑巾を食べてましたね。しかも、その雑巾の中にはかなり石とか入っていたと思います。
聞き手
石などにまみれた雑巾なんですね…それはそれであのシーンの悲惨さとまた別の悲惨さがありますね(笑)。ご自分で演じられているときには肉だと想像して食べていたのでしょうか?
肉を食べているというよりは、本当にあの時痩せていて本当にお腹がすいていたので、あのシーンと同じで、口にものをいれたというか。どれだけ関係を持っていた人でも死んでしまえばもう食うしかないという状況だなと思ったので、ただ食うというか、「作業」でしたね。肉を食っているとか考えてはないです。
聞き手
確かに見ている側も一緒に飢餓感を覚えました。何かを口にしたい、というのが凄く伝わってきました。撮影をされる前とされた後、あの役を経験して何か自分として変わったなということはありますか?
役者としてというか、人間的に変わった部分は多くて、塚本監督の現場だったからこそかもしれないですけれども。ものをつくるということを物凄く本質的な部分からやられる監督なので、映画に関わらせていただくことで、ひとつのものづくりに対しての姿勢を学びました。ただ、言葉ではあまり伝えられないですね。
聞き手
これから演じてみたい役や、出演してみたい映画はありますか?
シリアスなのはあまり好きじゃないので、コメディをやりたいです。この役をやっていていう言葉じゃないですけれども。コメディが好きなので。
『野火』もコメディのシーンもいっぱいあるのですが、笑わせにいっていないというか。塚本さんのお芝居の見方もそうですし、現場もそうなのですけれども、塚本さんのお芝居の演出はどっちにもとれるというような部分があります。あるシーンに対して、真剣にやっているシリアスなシーンだなと思う人もいれば、ちょっとくすって笑ってしまうような人もいると思うんです。そういうぎりぎりのところにいらっしゃる方なので。それはエンターテイナーとして、観客をわくわくさせてくれて、魅力的で、いいなと思います。

©SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

聞き手
クリエイターズコミュニティのキャストの方々にむけて、オーディションをするときのアドバイスをお願いします。
自然体でいることじゃないですか。あとは、嘘をつかないこと。自分の気持ちに嘘をつかないということです。思っていても、やっぱりここでこういったら相手にこう思われるだろうな…とか、結構日本人は思っちゃうじゃないですか。そういうことはあまり気にしなくていいのではないかと思いました。
聞き手
本作を宣伝するとしたら、どういった年齢層に伝えたいでしょうか?
自分の同い年とか若い世代、下でも構わないですけれども、そういった人達に観てもらいたいですね。たぶん若い世代の人は、自分も含めて無知なので。戦争以外のことについても全然知らないことが多いですし。無知って結構危ういじゃないですか。色々な物事に対しての考えが、付き合う人によって左右される危険性があると思います。
『野火』は、戦争を描いているからといって固定的な考え方を押しつけている作品ではないです。塚本監督の言葉を借りると、あくまで芸術作品で、芸術は自由であるべきなので、とにかく観てもらって、プラスでもマイナスでも思ったことや残ったことを、文字を書き起こすなり人に吐き出すなりしてもらいたいですね。面白かったよ、つまんなかったよというのを出してほしいです。出すことによって考えるじゃないですか。言葉になる瞬間に自分の考えが生まれるってことじゃないですか。若い世代に観てもらって、その人なりに生まれた考えと、周りの社会など今自分がいる状況、両方のことを考えてほしいなって思います。
聞き手
とても響く言葉でした。本日はありがとうございました。

大阪アジアン映画祭
今年で10回目を迎えた、アジア各国の話題の作品が集う映画祭。毎年3月に開催。
http://www.oaff.jp/

『野火』
2015年7月25日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
配給: 怪獣シアター http://www.tsukamotoshinya.net/
公式サイト: http://nobi-movie.com/

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