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2013年07月16日 『百年の時計』金子修介監督インタビュー

金子修介監督

『百年の時計』とは

香川県の 高松琴平電気鉄道、通称“ことでん”開通100周年記念映画として制作された『百年の時計』。『デスノート』『デスノート the Last name』、『ゴジラ』『ガメラ』シリーズ、『ばかもの』の金子修介監督が撮り上げた。
路線開業100周年の市民の足“ことでん”(高松琴平電気鉄道)と100年の時を刻む懐中時計をモチーフに、“ことでん”で育まれた密かな初恋の記憶と、大切な人と共に歩む人生の価値を丁寧に描き出した作品となっている。

ストーリー

新米の学芸員の神高涼香(木南晴夏)は、憧れの芸術家である安藤行人(ミッキー・カーチス)の回顧展を担当することになった。数十年ぶりに故郷に戻ってきた行人に新作を依頼した涼香だったが、年老いた行人はすでに創作意欲がなく、回顧展に消極的だった。落胆する涼香に、行人は百年の時を刻み続ける古い懐中時計を見せる。故郷を離れた若き日、琴平鉄道の列車で見知らぬ女性から貰い受けたものだと打ち明け、その持ち主の女性を探して欲しいと頼むのであった。「持ち主が分かれば新しいアートが生まれるかもしれない」と語る行人に、戸惑いながらも人探しを手伝い始めた涼香。母を亡くしてから関係のぎくしゃくしていた父(井上順)や幼馴染みの健治(金子裕樹)の助けを借り、涼香は元の持ち主を突き止めるのだが・・・。
列車が授けた出会い、そして許されない恋に落ちた男女。百年の時計に秘められた叶わぬ初恋の物語が明らかになるとき、止まっていた時がゆっくりと動きだす。

スタッフ

監督:金子修介、脚本:港岳彦、撮影:釘宮慎治、音楽:中村由利子

キャスト

木南晴夏、ミッキー・カーチス、岩田さゆり、近江陽一郎、宍戸開、水野久美、井上順

【プロフィール】

金子修介(かねこ しゅうすけ):1955年東京都出身。
78年日活に助監督として入社。監督デビュー作は『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(84)。その後、中山美穂主演『どっちにするの。』(89)などで女優の魅力を引き出し、『就職戦線異状なし』(91)『毎日が夏休み』(94)などで現代社会をコミカルに描いた。一方で『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)と『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(01)で、日本を代表する二大怪獣(ゴジラとガメラ)を手掛けた現在において唯一の監督として世界的に有名。また、日本でも大ヒットした『デスノート/デスノート The Last Name』(06)は中国で社会現象を巻き起こした。その後も『プライド』(09)、『ばかもの』(10)、『ポールダンシングボーイ☆ず』『メサイヤ』(11))『青いソラ白い雲』(12)などコンスタントに話題作を手掛けている。

(金子修介=金子

金子監督は、知人を通じて“ことでん”の100周年記念映画を作らないかというオファーを受け、東京ではなかなか電車を使ったシーンが撮れないことから興味を持ったという。

金子
周りの景色が動く電車は、映画的で魅力的な舞台です。様々な人が乗り込んで来ることで『グランドホテル』のようにそれぞれの人生が交錯する物語にしたいと考えました。
聞き手
香川県と言えばうどんが連想されますが、電車とアートを巡る物語となったのはどういう所から発想されたんでしょうか?
金子
香川県はアート県としての側面もあるんです。直島(※)ではモダンアートや建築に力を注いでいるし、高松市美術館もモダンアートに強い。モダンアートって最初はよく分からなかったんですけど、調べていくと、モダンアートを見て刺激を受けた人の心の中に出来るものも含めてのことだと理解できました。例えば水や紙吹雪を落すといった動きも含めて心を刺激する。もちろん静止画の場合もありますが。映画も本当の勝負はそれを観た人の中に浮かぶイメージです。全ての芸術はそういう面があると思います。
“ことでん”とモダンアートから発想して、スランプになった老齢の芸術家が何をやるか。電車を使ったアートだ!となりました。
※直島:「ベネッセアートサイト直島」という名称で現代アートや建築に取り組んでいる。ベネッセハウス・ミュージアムや安藤忠雄氏が建築した地中美術館ではクロード・モネの「睡蓮」が展示されている。

(C)さぬき地産映画製作委員会/真鍋康正 小松 堯 大久保一彦 金子修介 金丸雄一

聞き手
2人の主人公のドラマを紹介してください。
金子
木南晴夏さん演じる新米美術館学芸員の涼香は、前向きに生きていますが、お母さんが亡くなった時に自分は留学していて日本にいなかったんです。お母さんが危篤の時にお父さんも気付かなかったことを恨んでいて、どこか許してないまま二人で暮らしています。涼香には電車の運転手をしている恋人がいるんですが、自分は美術学芸員。すれ違いが始まっています。
ミッキー・カーチスさん演じる安藤行人は、スランプに陥った芸術家。創作意欲を取り戻すために時計探しを依頼することが物語の謎解きになっています。へそ曲がりなアーティストですが、この爺さんにも純粋な時代があったというのを(笑)近江陽一郎くんが演じています。
涼香が父親や恋人とどう向き合って行くのかというドラマと、安藤行人の過去の恋愛の物語が次第に明らかになっていく様子を主軸にしています。
聞き手
主演のおふたりはどういった経緯で出演が決まりましたか。
金子
木南晴夏さんは『20世紀少年』で注目していました。美人なのにブス顔を厭わない役を演じていて、色々な表情に魅力がある方。
ミッキーさんは、著作の『おれと戦争と音楽と』を読むとアートに対するセリフや突拍子もない行動をとったりするけど飄々として憎めない。まさに映画のなかの安藤行人そのものでした。台本を読んだミッキーさんが「これは俺だよ!」って言ってくださって(笑)。
聞き手
撮影に入ってからはいかがでしたか。
金子
おふたりとも楽しそうにやっていましたが、初日と二日目、木南さんは悩んでいましたね。
聞き手
悩んでいるときはどうアドバイスされますか?
金子
僕も一緒に悩みます(笑)。
聞き手
着地点は何処に見出されましたか?
金子
台本に書かれている涼香と自分とどうクロスさせるかという所なんですが、頭からは完全な一致はしないものです。それが動いてるだけで涼香になって来る。それは僕らが狙ってることでもあるし俳優の演出の部分ですね。演出は事前に決めてるんだけど現場は現場の空気が流れてるので、それを取り込みながら映画を作っていく。そこが難しいところです。
この『100年の時計』の世界には俳優さんが惹かれるものがあるようです。深い思索の果てに描かれ出した世界という感じがあって、木南さんはそこに参加するのが嬉しいという印象を受けました。3日目以降は顔が変わりましたからね。
聞き手
『百年の時計』ではオーディションはされましたか?
金子
オーディション的な事もやりました。あまりギャラが出せないので有志に出ていただきました。
聞き手
キャストを選ぶ際のポイントはどこに置かれていますか?
金子
役になりきれるかですね。どんなに演技が上手くても役からズレることはあり得ますから、そういうことがないようにしたいと思っています。 キャストは最後のディテールです。お客さんはそこを1番観ますから。
骨格を作って最後に丁寧に塗っていく作業がキャストにあたります。作品を彩る絵の具のようなものですね。

4人の現役映画監督による実践的ワークショップ

金子監督を「校長」に、未来の出演者を見つけようという趣旨で監督仲間が集まり不定期で開催中。
『百年の時計』にもワークショップ参加者が多数出演中とのこと。
情報は金子監督のブログで随時更新されます。

金子修介公式HP
http://www.shusuke-kaneko.com/

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